犬山城について

愛知県犬山市の木曽川沿いにそびえ立つ犬山城は、天文6年(1537年)に織田信長の叔父・信康によって築かれた、日本最古級の天守を持つ名城です。別名**「白帝城(はくていじょう)」**とも呼ばれ、国宝五城の一つとして、小規模ながらも比類なき気品を漂わせています。

1. 木曽川を望む「断崖の要塞」

犬山城の最大の魅力は、その立地にあります。木曽川の南岸、小高い丘の上に築かれた「後堅固(うしろけんご)の城」であり、背後は断崖絶壁という天然の要害です。川の流れを見下ろすその姿は、中国の長江を望む白帝城になぞらえられ、詩的な美しさを湛えています。

2. 野趣あふれる「現存最古の意匠」

天守内部に足を踏み入れると、長い年月を経て磨かれた黒光りする床や、太い梁が当時のまま残っています。

  • 望楼型天守: 2階建ての建物の上に、物見櫓を載せたような古風な構造が特徴です。

  • 唐破風(からはふ): 天守の正面に配された美しい曲線美が、戦国時代の荒々しさの中に優雅なアクセントを添えています。

3. スリル満点の「絶景回廊」

最上階の外周には、**「石落とし」「高欄(こうらん)」**と呼ばれる手すり付きの回廊があります。ここを一周すると、眼下を流れる豊かな木曽川、濃尾平野、そして遠く御嶽山までを見渡す360度のパノラマが広がります。吹き抜ける風を感じながら眺める景色は、まさに城主になったかのような高揚感を与えてくれます。


江戸時代まで個人所有であったという珍しい歴史を持ち、今もなお大切に守り続けられている犬山城。その小さくも力強い佇まいは、訪れる者の心を掴んで離しません。