鳥取城について

鳥取県鳥取市に位置する鳥取城は、戦国時代の過酷な籠城戦「鳥取の渇え殺し(かつえごろし)」の舞台として、また江戸時代には池田氏32万石の居城として栄えた、日本でも珍しい「山城」と「平山城」が融合した巨大な城郭です。

1. 時代を映す「石垣の博物館」

鳥取城の最大の特徴は、時代の変遷を物語る多種多様な石垣です。

  • 巻石垣(まきいしがき): 山の斜面の崩落を防ぐために築かれた球状の石垣で、全国でも鳥取城でしか見られない極めて珍しい遺構です。その独特の曲線美は、当時の高度な土木技術を象徴しています。

  • 多様な積み方: 戦国期の「野面積み」から江戸期の精緻な「切込接(きりこみはぎ)」までが共存しており、歩くほどに石垣の進化を肌で感じることができます。

2. 天下を揺るがした「要塞・久松山」

標高263メートルの久松山(きゅうしょうざん)山頂にある「山上ノ丸」は、羽柴秀吉が兵糧攻めを行った歴史の舞台です。

  • 断崖の要害: 山上の本丸跡へは険しい登山道を登る必要がありますが、そこから見下ろす鳥取市街と日本海のパノラマは、かつての城主が眺めた天下の景色そのものです。

3. 洋風建築との共演「仁風閣」

城の麓には、明治時代に建てられたフレンチ・ルネサンス様式の洋館**「仁風閣(じんぷうかく)」**が隣接しています。白亜の洋館と古色蒼然たる石垣のコントラストは、鳥取城ならではの優美な景観を作り出しています。


鳥取城は、凄惨な戦国の記憶を秘めながらも、石垣の美しさと絶景が調和する、唯一無二の深みを持った名城です。